左右盲とは、大人になっても「右と左を区別するのが苦手な人」のことを言います。
発達障害や病気の一種なのでは? と言われることもありますが、左右が瞬時に判断することができない原因は一体どこにあるのでしょうか。
左利きの人に多い、利き手を矯正した人がなりやすいなどの特徴があると言われている左右盲。
改善させる方法などはあるのか、などについてお話していきます。
左右盲は左利きや矯正が原因?
まず左右盲にはどういった特徴があるのか、簡単にご説明していきます。
左右盲とは?
初めて聞く言葉である人も多いと思いますが、左右盲とも左右失認とも言われることがあり、左右がとっさに判断できない人のことを指す言葉です。
左右盲の人の主な特徴としては、
- 右か左かがすぐに判断できない
- 東と西がすぐに判断できない
- いったん落ち着いて考えないとわからなくなる
- 視力検査のときめっちゃ困る
- 「右のやつとって」とか「左に曲がって」とか言われると硬直してしまう
- ただしお箸を持つ手などはきちんと理解している
などが該当します。
左右盲は左利きや矯正した人に多い?
左右盲である確率が高い人の特徴として一番よく挙げられているのが、
「左利きである」「左利きだったが矯正して今は右利き」
などなのですが、これに関しては今のところ確たる資料は見当たりませんでした。
ですが「左利きに多い」「矯正した人がなりやすい」というのは、考えれば「確かに!」と思う点がいくつかあります。
というのも、私自身も左右盲に当てはまるタイプなのですが、基本は左利きだけれど用途によって右に矯正されている部分があるという、まぁまぁややこしい特徴があるのです。
これで一体どんなことが起こってしまうかと言うと、
集団行動において混乱を招きやすい状況ができてしまうということなんです。
左右盲の原因が左利きにある(かもしれない)場合
幼稚園や小学校などで右や左を教えようとした場合、先生たちがよく使う例が
「お箸を持つ方が右よー!」・・・という言葉だと思います。
右利きの子であれば「そうか、こっちが右か」で済む話なのですが、左利きの私としては「え? こっち(左)が右??」と混乱してしまうんですね。
しかし先生たちも何十人の生徒を見なければならないので、少数の左利きの子のために違う例を出す、ということは中々難しいものがあります。
これが幼稚園の3年間、小学校の1,2年生辺りまでずっと続くと、「皆がお箸を持つ手は右だけど、私の場合は左・・・」と考えなければならなくなるわけです。
左右盲の原因が左利きから右利きに矯正したせい(からかもしれない)場合
左利きから右利きに矯正した際によく起こることなのですが、すべての動作が右利きに矯正されるわけではない場合があります。
お箸は左なのにハサミを持つ手は右とか、包丁は左だけどスポーツ関連(バットを持つ手やボールを投げる手)は右、という風になることが結構あります。
動作によって利き手を使い分ける、いわゆるクロスドミナンスと呼ばれるものですね。
このように完全にすべてが矯正されるわけではないと、左右がより曖昧になり、左右盲になりやすくなってしまうということです。
ですが今のところ左右盲になる原因はきちんとは解明されていないので、「これが原因だ!」とは言い切れないのですが、
「全員共通の【左←(右→)はこっち】という認識に当てはめられない場合がある」という環境で育ってしまうと、左右盲になりやすくなってしまうのではないか? と思いました。
左右盲は病気や発達障害の一種なのか?
左右盲に関して調べていると、「実は病気なのではないか?」とか、「右も左もわからないなんて発達障害なのでは?」などの悩みをよく見かけました。
左右盲は病気なの?
左右「盲」という名前がついているということは、実際にそうした病気が存在していて、その病名なのではないか?
と思っていたのですが、実は左右盲という言葉は正式な医学用語としては存在しない言葉なんですね。
一生懸命考えても本当に左右の区別が全くつかない人の場合であれば、別の病名がつくことがあるようなのですが。
左右盲のように「ちょっと左右を判断するのが苦手」という程度であった場合は、病気ではないとされることが多いようです。
症状や状態をわかりやすく伝えるために作られた、造語の一つということですね。
では病気ではないとしても、障害の一種であるということは考えられるのでしょうか?
左右盲は発達障害の一種?
正直私も「自覚がないし調べてないからわからないだけで、実は障害の一種なのかなぁ・・・」と悩んだ時期がありました。
小学生ならまだしも、中・高と経て20歳を過ぎてからも、右か左か瞬時に判断できないのですから。
ですが大抵の人の場合、左右が本当にまったくわからないわけではなく、一拍置いてからなら「左はこっち!」と言うことができるんですよね。
瞬時に反射的に「左←!右→!」と判断するのが難しいだけであって、落ち着いて考えればわかるんですよね。
- 左右が全く分からなくて学校にも行けない
- いまだに左右がわからなくて箸やスプーンが使えない
- はさみが使えない
と、ここまでいくとなんらかの障害や病気を疑った方がよいかもしれませんが、判断するのがすぐにはできない(けど落ち着いてからなら可能)という程度であれば、得手不得手の範囲内であると考えてよいようです。
「左右の認識が苦手」ということであれば、やりようによっては改善させることができる場合があります。
左右盲を改善させる方法とは?
これは人にもよるかもしれませんが、私は「改善させる方法はある」と思っています。
実際に今まで自分がやってみて役に立った方法をいくつかご紹介していきます。
1.自分の体の特徴で見分ける
例えば左手だけにホクロがあるとか、右足に大きな傷がある、などの身体的な特徴があった場合、それを基準に考えてみると判断しやすくなることがあります。
もし見た目に特徴がなくとも、「左肩の方がこりやすいなぁ」とか「右足がダルくなりやすいなぁ」とか、そんな程度でもいいんです。
ふとしたときに「こっちが左(右)」と思える特徴を自分の体で覚えておくと、とっさのときに判断しやすくなります。
2.時計の針の位置を思い浮かべてみる
左か左、東か西、など「2択から選ぶ」風に考えると、「あれっ・・・どっちや・・・(汗)」とわからなくなってしまうことが多いですよね。
左右どちらか! と考えるのではなく、まず丸い時計を思い浮かべてみてください。
3時の方向に針があれば右、ぐるっと回って9時の方向に針があれば左、といった具合に「時計の針の位置」を一つの画として覚えておくと、右か左か? と漠然と考えるよりも判断しやすくなるかもしれません。
3.左右どちらかにわかりやすいポイントを身に着ける
絶対に左手に時計をつけるとか、右にしかアクセサリーを着けない、といったように、自分だけのルールを設けておくとわかりやすくなります。
左って文字が刻んであるブレスレットを左手に着ける、とかいいかもしれませんね!(ダッサいけど!!)
4.左右という「文字」を思い浮かべてみる
左右という漢字、まさに「左(ひだり←)右(みぎ→)」という順番で並んで作られている言葉なんですよね。
正直これを知ったとき、「そうかー!左右って言葉、まんまひだりとみぎじゃん!!」というように、目からウロコでした^^;
5.運転するときは、ハンドルに「左」「右」とシールを貼っておく
これは私の話ではなく、職場の先輩のお話になります。先輩は下手すれば私よりも左右盲がひどいため、運転はできるもののいつも不安を抱えていたそうなんですね。
そこで先輩は「目につくとこに【ひだりかみぎか】わかる目印ほしい!」って思い立ち、ハンドルに左・右と書いたシールを左右に貼るという方法を編み出しておりました。
ぶっちゃけ他人に見られたらめっちゃ恥ずかしくないかしら・・・とか思ってしまいましたが、不安を抱えたまま運転するよりよっぽどましだわ。と思いました。
左右盲に関するまとめ
あまり耳にすることがない左右盲について、実体験も交えて色々と調べた結果をご紹介してみました。
そもそもなぜ左右盲という言葉を知ったかというと、とある漫画がキッカケだったんですよね。
↓三森みささんが左右盲を漫画でわかりやすく書いた記事
この前、左右盲について呟いたら意外と知らなかった人がいたので。右と左の判断に時間かかる人です。#エッセイ漫画#漫画 pic.twitter.com/GF3nPZiXlz
— 三森みさ@書籍販売中『だらしない夫じゃなくて依存症でした』 (@mimorimisa) May 24, 2019
この漫画を見るまで「左右の違いが未だにわかってない大人なんか私くらいだろうなぁ(恥)」と常々思っていたので、見たときは色々な意味で衝撃でした。
自分だけがわからないのではなかったこと、意外とたくさん「私も左右盲だよ!」っていう人がいたこと、みんな気にしてたけど言う機会がなかったこと、など。
周りが当たり前にできていることが自分だけできなかったりすると、どうしても落ち込んだり気にしたり恥に思ったりしてしまいますが、それも一種の「個性」なんだな、と考えられるようになりました。
左右の違いもわからないなんて、私ってお馬鹿さん? と考えるのではなく、「わからん人は他にもいるし、自分なりにわかる方法見つけていけばよろしいわ!」って思うくらいでいいんだな、と感じました。
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